2015年9月22日火曜日

怨讐星域1

本読みのおぼえがき

書名

怨讐星域 1 ノアズ・アーク

著者

梶尾真治

購入の経緯

書店で見かけて、手に取る。
短編の名手、梶尾真治だが、結構分厚い本だ。
帯には、「地球最期のとき 旅立った3万人と 残された70億人」
裏返して値段をチェック。880円+税
あらすじは、
太陽のフレア膨張による地球消滅から逃れるため、アジソン大統領と選ばれた3万人だけを乗せた世代間宇宙船ノアズ・アークが密やかに出航した。〈おお、ソソる設定である。エクソダスです。〉残された人々はノアズ・アークを呪い、大統領の娘ナタリーの恋人が発明した星間転移で決死の脱出を図ったー。〈おお、バックアップ付きです。〉2つの人類の目標は172光年先にある約束の地。生き残りを賭け闘う人間それぞれの受難、愛憎、そして希望を通して、世界の喪失と再生を描く、SF大河ロマン。〈172光年とは微妙な距離。シドニアの騎士みたいなことになるのか?〉

ん?手にとった他に、後2冊同じタイトルの本が・・・。
3巻まである。そして3巻で完結。3巻を同時に発行したものみたいだ。

とりあえず、1巻だけ図書カードを使って購入。

感想

文章が読みやすい。情景がすっきり頭のなかに入ってくる。さすがベテラン梶尾真治。
唐突に、星間転移を終えたばかりの人物を主人公に物語は始まる。
人間だけを転送する星間転移では、持ち込めるものも少なく、徒手空拳の人類が、未知の環境で如何に生き延びるか。原始時代以下、いろいろな民族が入り交じり、コミュニケーションを取るのも難しい環境で、異星の猛獣と闘う人類の姿。
世代間宇宙船ノアズアークを作ったアジソン大統領の娘と、その恋人との儚いラブロマンス。
新天地で世代を重ねていく、星間転移した人類。
各章が短編小説として独立して読める、オムニバス形式で続いていくストーリー。
星間転移した人々が生活基盤を作っていく様子の描写は、危うげで魅力がある。
昔読んだ、半村良の「太陽の世界」を思い出す感じ。
世代間宇宙船では、子孫繁栄と宇宙船の管理が大きいテーマ。
宇宙船に唯一持ち込まれた人間以外の動物は、ゴキブリ。ペットとして農作業補助の動物として改良される。世代間宇宙船の閉塞感が伝わるエピソード。
これは、なかなか良作ですよ。
読み終えたら、スグに続きが読みたくなりました。

本書はSFマガジンに2006年から2008年に連載されたものを、まとめたもののようです。
あとがきによると書き始めたのは2005年からということなので、10年間の著作のまとめであるわけですね。
一気読みできるのは、幸せです。





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