2014年3月10日月曜日

「生賴範義 展 The Illustrator」へ行って来た。

岡山から朝757分の新幹線のぞみで出発。はじめての宮崎まで約6時間のひとり旅。
今回の目的は、「生賴範義展 The Illustrator」です。

中学生のころ、生賴範義作品集を買ってページがバラバラになるまで見た記憶がよみがえる。
今、印刷関連の仕事をしているのも、生賴氏のイラストの影響は否めない。日本のカラー製版の歴史を今回の展示で感じることが出来るかもしれない。

岡山からだと、宮崎は遠いです。
最短ルートは、岡山→大阪(伊丹)→宮崎で、空路が一番早いがそれでも4時間以上かかります。
今回は、運賃が一番安い方法で移動する事にしました。

のんびり、車窓を楽しみながら、ウトウトとしつつ、宮崎市に到着。

宮崎駅に降りて、宮崎駅構内を見る。
ホームは2本で小さめの駅です。
駅の1階は、お土産屋さんと、100円ショップ、ファストフード店など。
駅の西口から出ると、バスターミナルになっていました。

駅前通りを、橘通りに向けて歩く。少し肌寒い。歩いていると、なんだか疲れた感じがして、このまま、みやざきアートセンターに向かう気分にならないが、とぼとぼ歩いて、アートセンターに到着。同じ建物の1階にうどん屋があるので入ってみる。
てんぷらうどん280円。すっかり体が暖まって、元気が出ました。



すぐ隣の展覧会場に向かう。






エレベーターで5階に上がると会場だが、エレベーターの扉が、宮本武蔵とベガである。カッコいい。これだけで満足しそうである。


いやいや、満足してはいかん。「ベガ」側のエレベーターにのり、5階に到着。受付で900円支払う。
まず、右側のフリースペースに入る。


ここは撮影自由だが、生頼氏の仕事の概略がここだけで理解できる素晴らしい展示。プロのイラストレーターの作品は印刷された最終成果物の一部である訳で、ここに展示してある印刷物こそ、本来の作品公開の形だという考え方もある。
中央のピラミッドに、氏が手がけた数々の書籍のカバーイラストが展示されている。
壁には、同じく映画ポスターや、商品広告ポスターが展示されている。
最盛期には年間130点をこのクオリティで描いたと言うのだから、ものすごい作品数である。


さて、ここを抜けて、有料の展示スペースに移ると、ここからは撮影禁止。
ゴジラ映画のポスターの原画である。
40号位のサイズのキャンバスに描かれた、鮮やかな色彩の原画は、ポスターになった物とは表情がちがう。荒々しい筆のタッチと、原画の艶感はやはり印刷では表現しきれない。ポスターの製版処理はこの再現は不可能ながら、映画作品の表現の為に、製版職人の腕がふるわれた事と思う。
東宝所蔵の原画と表記されていて、この原画が大事に保管されていて良かったと思う。70年代から80年代の作品も多いが、当時の製版だと、原画からデュープを起してドラムスキャナにかけるか、または直接、製版カメラでフィルタを入れて分解していたはず。イラストレーターさんも製版工程をかなり意識していたと思うのだが、その辺りの事が職業柄気になる。

展示を見て行くと、荒々しいタッチで迫力のある絵柄を目指すポスターは40号位のサイズのキャンバスに描かれている。緻密なタッチの書籍表紙はA3サイズ位のイラストボードに描いているようだ。
そして、どのサイズの原画もとにかく、かきこみがスゴい。コーエーのゲームパッケージ等はキャラクター数が非常に多いが、群像の中で、多くのキャラクターを描き分けているのが、スゴい仕事内容だと思う。
この詳細な描き方で、このサイズのイラストを量産していたというのが人間業とは思えない。

4階に移動すると、SFアドベンチャーの表紙絵の部屋が。ここは撮影可。


昔、すり切れるまで読んだ作品集に載っていた、SFアドベンチャー表紙の制作工程が、ビデオで流れている。
最後に日本通運のトラックに乗せる所が印象深かったという記憶がよみがえる。

4階のメインフロアでは、スターウオーズ。
スターウオーズのポスターは、習作がかなりの数展示されていて、打合せとかが繰り返し合った事が伺える。
そういえば、スターウオーズは、米国版のポスターと日本版のポスターで色合いがずいぶん違うのだが、これは原画も別々に描いたのか、製版処理なのか興味がある。
そのほか、未発表作品の展示もあるが、コンペとかもあったのだろうか。
個人的に、好きなのは、ムー創刊号の表紙と、幻魔大戦である。


ムー創刊号の表紙は、宇宙をバックに逆行で風を受けてポーズを取る女性が、子供のころ強烈な印象だった。
幻魔大戦は、石森章太郎の幻魔大戦から平井和正の幻魔大戦への移行はこのイラスト在りきでしょう。このイラストが読者のイメージ、更には平井和正のイメージをかき立てて、ストーリーの構築にフィードバックされていたと思います。

イラストレーターとしての活躍があまりに強烈な、生頼氏だが、油彩画家としての大作が、鹿児島の川内市にあるとこの展覧会で知った。
画家としての作品と、イラストレーターとしての仕事の狭間を感じる展示でもあった。
機会を作って見に行きたい。

氏のイラストを見て育った自分だが、生頼氏は、僕の父と同じ昭和10年生まれであると知って得心した。脳梗塞からのリハビリ中だとは思いますが、くれぐれもお体を大事にして下さい。

会場を後にして、この日は近隣の格安ビジネスホテルに一泊である。


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